帰ってきたガマガエル

庭の風景も、すっかり様変わりしました。

やぶ蚊が多くて、庭に出るのも気合が必要ですが、木々も草花も、旺盛に枝葉を伸ばして、うっかりするとジャングルになってしまいます。


10日ほど前の早朝、庭の入口にガマガエルが座っていました。
毎年、夏になると何処からともなくやって来て、ギボウシの下で昼寝をしていたあの子なのか、「帰ってきたよ」とでも言っているような顔をして私のことを見ると、いつものギボウシの下に入って行きました。

この辺りは、開発されたばかりで、年々家が増え、新しい道がつき、地域の様相がどんどん変わっていく中、道を違わず我が家へ戻ってきてくれたと思うと、彼女(彼?)の道中の困難を察するに余りあります。

ギボウシの下で背を向けて座っていた彼女に「ガマ子ちゃん、お帰り。こっちを向いて」と、カメラを向けると、ゆっくり振り向いてくれました。

早速、コガネ虫を捕まえて鼻先に放ってやると、素早く舌を伸ばし、ビードロを鳴らすように「ぺッコ」と音をさせて、口の中に入れました。
ガマ子ちゃん、この夏も、私と一緒に庭仕事に励みましょうね。


ガマガエルと言うのは、時に、何kmも歩いて住処と繁殖地とを往復すると言います。
我が家から、500m位のところにホタル池という小さな人工池があり、そこから、気持ちばかりの小川が800mほど先の調整池まで流されています。
おそらく、うちのガマ子は、その辺りまで参じるのだと思うのですが、その小川には、春先、カエルの卵がたくさん産みつけられるのに、2週間もたたないうちに、子ども達が卵を根こそぎ採って行ってしまい、あんなにたくさんあった卵も、あっという間に無くなってしまうのです。
その上、小川に面する付近は、以前はマムシの多くて人も入らぬ深い湿地だったと言い、造成された今でも、雨が続くと水がたまり、葦の原となり、カエルがそこで繁殖し、水鳥まで泳ぐような場所なのですが、先日、謀中小住宅メーカーが買い取り、近く、家が立ち並ぶ予定です。
そんな地盤のところに、家が建てられ、人が住むというのも驚きですが、人間のことは自分で責任を取ればよいことなのでさておき、うちのガマ子ちゃんが、毎年ちゃんと帰ってこられるかがとても心配な私なのです…。