脂腺症

小さいことは気にせず、いつでも悠然としていた秋田犬の幸姫(ゆきひめ)は、
火事の後、毛がなくなり、見かけが貧相になっただけでなく、少しのことで不安がったり、
私について離れなくなりました。


何とかしてやらなくては、と、皮膚病について調べ、かかりつけ医に以前、秋田犬は
皮膚が遺伝的に弱いので、常に清潔を心がけるように言われていたこともあり、
清潔を保つために、シャンプーの回数を増やしてみました。
しかし、毛はますます抜けて、皮膚は乾燥し、足の裏もあかぎれて痛がり、
散歩に出るのも嫌がるようになってしまいました。
真っ赤にただれた皮膚が、薄くなった毛の間から透けて見え、本当に痛々しい。
痒がって、容赦なく掻くので、血が出て、あちこちかさぶたになっている状態です。


かかりつけ医からは、足の付け根や口の周りに湿疹ができると、抗生物質
いつも処方されていたのですが、今回はどうもそれと症状が違いました。


私は、皮膚科専門医を訪ねることにしました。


先生は、丁寧に丹念に皮膚の状態を診て下さり、詳しい問診をした後、秋田犬に良く見られる、脂腺症の可能性があるとおっしゃいました。
その診断を確かめるために、皮膚の何箇所かを深く切り取り、組織の検査をすることになりました。
これは、いつもの予防接種くらいではうんともすんとも動じない幸姫にも、大変つらい検査となりました。
その他に、甲状腺の機能を確かめるための血液検査、疥癬の検査もしました。


2週間後、結果はやはり脂腺症。
皮脂腺が、毛根とともに免疫細胞により破壊されて脱毛し、皮膚が乾燥して
外部刺激に弱くなっていると言う事でした。


血液検査では、ストレスを示す数値が異常に高くなっている部分もあり、
発症のきっかけになったことも否めません。


脂腺症については、まだ有効な治療法が確立されていないけれど、アトピカという、
免疫抑制剤で効果が出る症例があると言う事で、試すことにしました。


幸姫の体重は31.5㎏。
1日1,500円の薬代がかかります。
しかし、お金には代えられません。
私がもやしで食いつないでも、薬代は確保しなくては。


かくして、私と幸姫と脂腺症との戦いが始まりました。